6オクターブの声域を持つ、中央アジアカザフスタンの若き天才歌手
Dimash Kudaibergen(ディマシュ・クダイベルゲン)。
音楽家の両親のもとに生まれたディマシュ・クダイベルゲンは、幼いころから音楽の専門教育を受け、様々な歌コンテストを総なめにし、
「天才少年がいる」と国内では有名でした。
そのディマシュ・クダイベルゲンが世界に打って出る大きなきっかけになったのが、2017年に放映された、中国の「歌手」と言う番組です。
「歌手」は、中国の湖南衛星テレビが制作するコンペティションスタイルの音楽番組で、新人発掘のためのオーディション番組ではなく、参加アーティストは既に一定の評価を得て活躍中、実力と人気を兼ね備え、また経験豊富なベテランたちです。
毎週収録があり、競争に勝つための水準の高い演奏を10回以上行い、決勝戦に勝ちあがって行きます。
ディマシュは、中国式の名を迪玛希·库达依别列根(迪瑪希・庫達依別列根)として、最年少22歳で言葉もわからない異国の地に降り立ち、この番組に参加しました。当時の中国での知名度はほぼ0(ゼロ)で、特別参加(Wild card)扱いでした。
2017年1月21日 第一ラウンド。
ディマシュはフランスの歌手ダニエル・バラヴォワーヌの " S.O.S. d'un terrien en détresse " を歌い、その圧倒的な歌唱力で中国の人たちにショックを与えました。
歌手の人材に事欠かかず、素晴らしい歌声を聴きなれている中国国民をもってしても、ディマシュの歌声は衝撃的であり、感情を揺さぶられるものだったのです。
それは、「歌手・ディマシュ・クダイベルゲン」の事実上の、世界に向けた鮮烈なデビューの瞬間でした。
地鳴りのような低い声から、一気に天上にまで駆け上がる高音へ。
オペラティックな発声。力強いチェストボイス。ミックスボイス。ホイッスルボイス。
ありとあらゆる種類の歌声が、手品の宝箱から出てくるかのように、たった一人の人間の喉から繰り出され、感情豊かな表現で彩られました。
※ ↓ 実際の歌唱はこちらから
●2017年1月21日放送
●タイトル : S.O.S. d'un terrien en détresse (フランス語)
●歌詞:Luc Plamondon
●曲:Michel Berger(ミシェル・ベルジェ)
●編曲:梁翹柏(Kubert Leung)(番組エグゼクティブ音楽監督)
●オリジナル : Daniel Balavoine (ダニエル・バラヴォワーヌ)
迪玛希《一个忧伤者的求救》 -《歌手2017》第1期 单曲纯享版The Singer【我是歌手官方频道】
この歌唱がディマシュ・クダイベルゲンの中国での人気を不動のものとする大きな最初の一里塚になり、S.O.S.は、ディマシュにとって運命を決めた・運命を変えた一曲になりました。(この番組ではこの曲で一位をとり、数か月後の決勝ではディマシュは見事に準優勝に輝きました。)
ディマシュは2019年の日本で開催されたABUソングフェスティバル(11/19、NHKホール 司会:村上信五/他出演者:久石譲、TWICEなど)に、カザフスタン代表として来日・出演しました。
その時にもこの「S.O.S」を歌っています。
※ ↓ 実際の歌唱はこちらから
youtu.beまた、先日(5/24)のTokyo Jazzフェスライブストリームでも、この歌を歌いました。
自身の口から、「私の運命を変えた曲」と紹介しています。
↓参考記事dimashjapanfanclubofficial.hatenablog.com
↓ Vitebsk, Belarus, July 2018.
こちらは2018年
ディマシュは、自身のソロコンサートでも勿論この歌を歌います。
しかし、ゲストパフォーマーとして1曲か2曲程度歌う場合も、かなりの高確率でこの曲がチョイスされます。
それほどこの曲はディマシュにとって特別なものだという事かもしれませんね。
また、ディマシュの歌ったこの曲は、友人でもある男子フィギュアスケーター、カザフスタンのデニス・テン(
このことも、Dimashの歌声を世界に知らせる大きな力になりました。
この投稿をInstagramで見る
「一体この曲は、何人がかりの歌手で歌っているのだ?」と、スケートファンの間で取りざたされ、デニスはそのたびに「これは我が国の歌手、我が国の宝、【ディマシュ・クダイベルゲン】が歌っています」と、まだまだ世界的には無名だったディマシュを世界に向けて紹介しました。
デニスは2018年7月に残念ながら強盗に襲われ死去してしまいます。親友だったDimashは心の底から悲しみました。
このエピソードの意味からも、この曲はディマシュにとって特別なものかもしれません。
www.instagram.com ↓ディマシュ本人のYouTubeチャンネルです。ぜひ登録して下さい。
↓「カザフスタン」についてもっと知りたいかたはこちら(DJFCオフィシャルサイト内)