ディマシュ・クダイベルゲン/ Dimash Kudaibergen  

公式 ディマシュ ジャパン ファンクラブ/ Blog by Dimash Japan Fan Club Official

" Samal Tau " ディマシュが歌う民族の悲しみ

ディマシュが歌う「サマルタウ

カザフ民謡《サマルタウ》(Samal Tau-Самал тау)について

 

Tokyo Jazz+plus LIVE STREAM(2020.5.24)で、

Dimashが1曲目に歌ったサマルタウ/Самал тау。

↓公式動画/Tokyo Jazz+plus LIVE STREAMより


Dimash Kudaibergen - Samaltau | Tokyo Jazz Festival 2020

DimashはTokyoJazz+plus 以前に一度 歌ったことがあります。

2019年10月20日 第6回シルクロード国際映画祭(The Silk Road International Film Festival)のクロージングセレモニー。

海上シルクロードの起点とされる福建省の福州市で行われたこのフェスティバルには、ロシア、インド、イランなど40以上の「一帯一路」沿線の国や地域から400以上の作品が集まり、映画上映会、映画フォーラムなど95の関連イベントが行われました。

中国開催のため「薩馬勒山」と漢字表記がなされていました。

一帯一路(いったいいちろ):2014年11月10日に中華人民共和国が提唱した広域経済圏構想

中国からユーラシア大陸、ヨーロッパにつながる陸路の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部から 東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロード」(一路)の二つの地域で、インフラストラクチャー整備、貿易促進、資金の往来を促進する計画である。ディマシュはしばしば、関連イベントに出演している。 


Димаш Құдайберген - Самалтау

さて、今回、カザフの悲しい歴史を歌った、誰もが知っている歌と紹介された「サマルタウ」。

どんな歌なのでしょう。

◆タイトルの意味

サマル タウСамал тау:作者の生まれ故郷の山。

サマルタウはどこにある山なのか?

西カザフスタンにあるという説とアルマトゥ近くという説があります。

固有名詞かどうかも不明。

いずれにしても 歌中に出てくるオムスクとは千数百キロの距離です。(東京・大阪間が約500キロ)

タウтау:山・丘

サマルсамал:穏やかなそよ風、心地よい涼しさを運ぶような風を意味する。

その心地よい爽やさ、優しさのイメージから、 女性の名前にも見られます。

森山未來主演の日本・カザフスタン合作映画「オルジャスの白い馬」に出演したカンヌ女優サマル・イェスリャーモワ/Samal Yeslyamovaもその一人。

また、アルマトゥの地下水域からくみ上げて精製したミネラル飲料水も「サマル水」という名前。

カザフの人が「サマル」という語に抱くイメージがわかりますね。

※シャルカー湖 шалқар көлім:後述する歌詞の中に、シャルカー湖広い湖・海の意)という言葉が出てきます。西カザフスタンに同名の湖があります。まるで海のように広いです。ただ、サマルタウ同様、歌の中の「シャルカー湖」は固有名詞なのか一般的な語なのか、不明。 

 

このように美しい故郷を歌いながら、なんとこの曲の暗く重々しいことか。

それは、この歌には以下のような背景があるからです。

 

◆背景

帝政ロシア・ニコライ2世(在位1894年 - 1917年・末娘は有名なアナスタシア)の時代。

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ニコライ二世

1914年に始まった第一次世界大戦では、ロシア軍は1400万人もの動員で規模はヨーロッパ最大でしたが、2年間の戦闘で530万人の犠牲者を出しました。

1916年6月、帝政ロシア政府は兵力の不足に苦しみ、異民族の召集令を発布しました。

すなわち、これまで軍兵の対象としていなかった中央アジアとシベリアの先住の人々(ロシアから見れば異民族)にたいし、19歳から43歳までの40万人の動員をかけたのです。

カザフ民には24万人が割り当てられ、当時シベリア行政の拠点、ステップ総督府のあったオムスクに参集させられることとなりました。

突然の命令に、無理やり掻き集められた多くの人々が、準備の時間もなく、徒歩で、厳しい悲惨な集団移動を開始しました。

サマルタウ」は、このとき徴用された非常に若い「新兵」によって謳われた歌なのです。

作者の名は伝わっておらず、カザフの民謡として歌われています。

(DJFCホームページでは、アライ・アイダルハンの歌唱を、楽器クル・コブズと共に紹介しています。)天籁之声第6期 《萨马勒山》-阿来·阿依达尔汉

 

◆歌詞

清風ふきわたる山 素晴らしい故郷 広い湖

私が兵になったら いったいどんな日々になるのだろうか

故郷は 何度も何度も私の胸によみがえる

産湯につかり 臍の緒を切った 素晴らしい私の故郷

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馬にも乗らず ただ歩いている

いや 歩くよりも遅く のろのろと

よろめき歩いた 十と五日

オムスクに近づいてきた

 

私の歳は 干支でふた回り、 丑年生まれ

運命が 力づくで わたしを遠く追いやった

サマルタウよ

素晴らしい故郷は 遥か私の後ろになり

わたしたちは はぐれて荒野にさまよう馬の群れ 

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父がいた

母がいた

みな とても年老いていた

この歌は 悲しみの叫び

1916年の悲痛な叫び

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清風ふきわたる山 素晴らしい故郷 広い湖

私が兵になったら いったいどんな日々になるのだろうか

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註:アライ・アイダルハンが2017年に中国のテレビ番組「天籟之聲(Sound Of Nature)」(東南テレビ制作)で歌いました。この番組は、芸術的な、さまざまな国籍の伝統文化、特に国民音楽の継承と発展に焦点を当てています。

原文網址:https://kknews.cc/entertainment/lz24z8b.html

翻訳にあたっては、この番組での中国語訳なども参考にしました。

*命令では“異民族”は部隊後方の労役につくことになっていましたが、前線で実戦につくのではと言う「うわさ」「不信」もあり、彼の、兵となった日々の不安も歌われています。

*なぜ作者が年齢のことを歌うのか。故郷を恋い慕う気持ちが父母への思いに重なり、いっそう悲劇的に感じられますす。ここで言う「父母」も、Dimashがそう呼ぶように祖父母のことかもしれません。父母が「とても年老いている」ことに合点がいきます。

*なお、サマルは心地よい風ですが、「そよ風」という草葉のさやぐ音、かそけさのイメージよりも、カザフの雄大な自然に相応しくなるよう訳出してみました。 

 

◆使用楽器

↓クルコブズ(二弦楽器・弓):カザフスタンの古楽器

動物の声を連想させる厚みのある音が出る。  

狼の鳴き声、風の音、砂嵐などを模倣しています。本作品では、胴の下部にラクダの皮を張った古典的なものが使われていました。

↓スブス(笛)сыбызғы:カザフスタンの古楽器

もとは、中空の葦や柳などの管を用いて作られたという細い縦笛。60センチから80センチ。演奏法が極めて難しく、また、材料の入手困難などもあって、一度は廃れてしまった。(なお、カザフスタン東部のものは短く、先が広がる円錐形をしている)

↓レインスティック(擬音楽器): 竹などの 筒状のものに 釘状の棒をらせん状にたくさん刺し、中に小石などを入れて動かし雨の音を表現する。

元々はサボテンの筒にサボテンのとげを刺したもの(雨乞い棒)。本作品でも、極めて効果的に使われている。

本文寄稿:まつりか 

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