Abai 詩の朗読リレーチャレンジ
「Abai の詩を朗読し、バトンを次の人に渡す」というチャレンジは、
2019年5月31日にカザフスタンの一人のジャーナリストから始まりました。
ボラシャク(カザフスタンの国際奨学金制度)奨学生でもあったШынар Шакенシュナル シャケンさんが「アバイの詩を読んでネットで共有しましょう」と提案したのです。
9歳の少女Ләйлім-Шырақ レイリム シュラクさんがそれを受け、立派に《Әуелде бір суық мұз – ақыл зерек》(最初は冷たい氷―賢いこころ)を暗唱した後、なんと大統領にバトンを渡したのでした。
Ләйлім Шырақ Абай өлеңдерін оқу эстафетасын президентке жолдады
大統領は、2019年5月30日、そもそもこのチャレンジが始まるきっかけとなった「アバイ・クナンバエフの生誕175周年を祝う法令」に署名したばかりだったのです。
2019年7月、一国の大統領カシムジョマルト・トカエフ氏は「アバイ175周年を祝すバトンを、小さな愛国者から喜んで受け取ります」と言って少女からバトンを受けとり、アバイのことば«Ғылым таппай мақтанба»(知識のないことを自慢しないで)を朗読しました。
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そして、
・科学教育省大臣と
・文化スポーツ省大臣、
・世界に名高い歌手Dimash Kudaibergen にバトンを渡します。(上記動画ラスト01:32あたりでディマシュの名前が出てきます)
Dimashはもちろん、これを謹んで受け取り、インスタグラムに朗読を発表しました。
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ですから、この詩の朗読リレー参加者は、大統領が3番目、Dimashは4番目ということになります。
この時点で、このチャレンジはニュースになり大変に話題になりました。
↓各局の報道
↓ ASTANA TV
Әнші Димаш Құдайберген мемлекет басшысы жолдаған Абай өлеңдерін оқу эстафетасын жалғастырды
↓ qazaqstan.tv
Абай өлеңдерін оқу эстафетасын Димаш Құдайберген қабыл алды
↓ Otyrar TV
Абайдың өлеңдерін оқыған тілші Ғабидолла Әбдірахымовқа эстафетаны жалғастыруға ұсыныс жолдады
Dimashは誰にバトンを?
Dimashは、「アクトベ市の首長Ondasyn Seilovich Orazalin氏、ロシアの人気アーティスト イゴール ヤコブレヴィチ クルトイ氏、そして、僕の大事なDearたちへ」
(―――そう、彼の世界中のファンたちへ)次のバトンを渡したのです。
Dimashの言葉に触発されてアバイの詩をよんだDearsは、それぞれSNSにアップしています。
このリレーは、政治家、音楽家、外交官、実業家、スポーツ選手、俳優、もちろん、一般市民の間でも広がっていったそうです。
ちょっとしたきっかけで爆発的に発展し、人々の支持を得たアバイ詩の朗読チャレンジは、カザフスタン周辺諸国、欧米、アジア、日本へ(例:河村建夫 衆議院議員が日本語訳で挑戦し、駐日カザフスタン大使にバトンを渡しました)も広がり、わずか2か月で6000本以上のチャレンジ投稿があったといいます。
今でもきっとどこかで続いているのでしょうね。
さて、このバトンを受け取った人のチャレンジの言葉を辿ってみると、
やはり、それぞれの立場、人生、信条、好みなどに照らして、心に響くアバイの詩、みんなに伝えたいアバイの言葉を選んでいるのだなということを感じます。
選ぶ過程で、アバイの詩を吟味し、味わい、また新たな発見をして伝える。それはとても有意義なことだと思います。
Dimashが読んだ詩
Dimashが読んだ詩は《Қақтаған ақ күмістей кең маңдайлы》
(カクタガン アク クミステイ ケン マンダイル)
《薄く展ばした白い銀のようなひろい額》
20行からなる抒情詩。アバイ1884年(39歳)作。
田舎の暮らしの中の若い女性の美しさを、彫刻的に表現する一方、
素直で快活な、内的感情の美も描こうとしました。*1
アバイさんの趣味(好み)が強調されている、なんて言う人もいます(笑)
もう古い詩(1884年作)で著作権的に問題無しと判断し、以下に詩を全文提示します。
非常に拙いながら、大まかな意味も考えてみました。*2
Қақтаған ақ күмістей кең маңдайлы
Аласы аз қара көзі нұр жайнайды.
Жіңішке қара қасы сызып қойған,
Бір жаңа ұқсатамын туған айды.
Маңдайдан тура түскен қырлы мұрын,
Ақша жүз, алқызыл бет тіл байлайды.
Аузын ашса, көрінер кірсіз тісі,
Сықылды қолмен тізген, қайнайды.
Сөйлесе, сөзі әдепті, әм мағыналы,
Күлкісі бейне бұлбұл құс сайрайды.
薄く展ばした白い銀のようなひろい額
小さな黒い目が輝いている。
うっすらと細い黒い眉
まるで生まれたばかりの月のようだ。
額から真っすぐに伸びる はなすじ
白い顔、赤い頬、言葉はゆたかだ。
口を開くと白い歯がのぞき
隙間なく並んで 沸き立つようにこぼれる。
闊達に話すことばは 礼儀正しく意味があり、
朗らかに笑えばナイチンゲールが歌うようだ
(Dimashが読んだのはここまで)
Жұп-жұмыр, ақ торғындай мойыны бар,
Үлбіреген тамағын күн шалмайды.
Тақтадай жауырыны бар, иығы тік,
Екі алма кеудесінде қисаймайды.
Сорақы ұзын да емес, қысқа да емес,
Нәзік бел тал шыбықтай бұраңдайды.
Етіндей жас баланың білегі бар,
Әжімсіз ақ саусағы іске ыңғайлы.
Қолаң қара шашы бар жібек талды
Торғындай толқын ұрып көзтаңдайды.
丸く白いくびをもち
毛皮のような喉をしている。
肩はまっすぐ、背中もまっすぐで、
二つのりんごの丸い張りのある胸。
背は高くもなく低くもなく
細くくびれ柳のように腰をひねる。
ふっくらと子供のような柔らかい手首、
白いすっとした指で、器用に仕事ができる。
茶褐色の髪は絹のように滑らかで
生き生きと波が打ち寄せるようだ。
寄稿:まつりか
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